図書館の充実で健康寿命増進? 江田島市「まち・ひと・しごと創生」市民ワークショップに参加してきたよ

2019年10月3日

9月29日の午前中、江田島市の企画振興課がとりまとめている「まち・ひと・しごと創生」市民ワークショップに参加してきました。

去年の「えたじま向上委員会」のボランティアが意外と大変だったので、今年は一休みかな~と思っていたのですが、人が足りないということで二次募集に応募。

会場に行ってみると人・人・人。

今回は、県立大学や安芸南の高校生、他のセクションには広大生や大柿高校の生徒もいたとか?

 

 

江田島市「まち・ひと・しごと創生」市民ワークショップ資料

資料撮影を猫に邪魔された(猫あるある)

 

 

それだけでなく、市役所の各部署から大勢の市役所職員も参加。

いわゆる「協働」の実践でした。

結果的には大盛りあがり。

外部からの視点、市民の視点、そして実践者としての市役所職員の視点が融合。

これまでにないケミストリーとしてたたき台を作ることができました。

 

今回は「定住促進」「健康寿命増進」「しごと」「子育て支援」の4つに分類されており、ぼくは「健康寿命増進」のセクションに参加。

デザインシンカーとしては、できれば全てに参加したかったのだけど、なかなかそうも行かないので、すべてのセクションにポジティブな波及効果が伝搬しそうな「健康寿命増進」を選択したのです。

では、持ち帰った資料とワークショップでの提案を精査してみましょう。

 

 

江田島市「まち・ひと・しごと創生」市民ワークショップ資料

 

 

現状:江田島市の健康寿命は県内ワースト2

「うわっ!」ってなってしまいました。

というのも、広島県自体が相当に順位が低いから。

その中でもワースト2なので、江田島市は全国でも有数の健康寿命後進地域

これはだめでしょ?

 

厚生労働省がまとめている「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」によると、2016年の広島県の健康寿命は男性が71.97歳、女性が73.62歳。

それぞれ27位と46位。

2016年は震災の影響で熊本の数値が抜けています。

そのため、広島県の女性の健康寿命は実質最下位

その状況下での県内ワースト2の江田島市の現状は、「ひどい」の一言に尽きるでしょう。

逆に、改善の余地はありまくり。

プランニングのやり甲斐があるというものです。

 

もう一つの指標、平均寿命も見てみましょうか。

広島県男性で79.06歳、女性で86.27歳。

それぞれ、13位と10位です。

この指標に関しては優秀な部類に入ります。

ただし、逆説的には不健康に長生きしていると言えますよね?

男性で7.09年、女性に至っては12.65年も不健康に生きている状況。

 

寿命と健康寿命の乖離

 

上のグラフはNHKがまとめた平均寿命と健康寿命の関係を表した県別の分布図。

京都・奈良・広島などは不健康に長生きしている地域。

優秀なのは右上のセクション。

ここで注目したいのが健康寿命日本一の山梨です。

そこには専門家さえ全く気づかなかった驚きの要因がありました。

 

実は昨年秋のNHKスペシャルでそのことが特集されました。

そのエビデンスをもとに、今回のワークショップで提案したのは「公共図書館」

図書館を充実させることで健康寿命が増進するなんて、市民の知性を充実させることもできるので一粒で二度美味しい施策です。

いや、二度ばかりか三度も四度も美味しい施策になり得ます。

それでは、論拠も交えて今回の提案を紹介していきましょう。

ちょっとその前に・・・。

 

 

共感:デザインシンキング

まず、市政のあり方を根本的に変える意味で「デザインシンキング」「共感」を提案しました。

以前住んでいた広島市とは異なり、江田島市では市役所の方たちと触れ合う機会が本当に多く、真面目な仕事を垣間見る機会も多々あります。

けれど、この真面目さが諸刃の剣で、どうしても過度にロジカルになる傾向があります。

そのため、規定を杓子定規に運用してしまい、市民の要望とに乖離が生じることも。

 

ハイタッチ

 

もちろん、その要望がただのワガママであってはいけません。

しかしながら「市民に寄り添い市民に共感していればそもそもこんな規定作らないよな~」と思えることが多々あるのも事実。

僕だけでも5・6個、いや、7・8個改善提案ができる案件があるので、全市民のレベルでは膨大な数にのぼるのではないかと思われます。

だからこそ、今後の5年の市政を決定する今、デザインシンキングの「共感」「観察」「インタビュー」の概念を取り入れて、市民に寄り添う市政を実現してほしいのです。

 

「共感第一主義宣言」なんて掲げてみてはどうでしょうか?

フレキシブルな発想で市民とともに共感しつつ歩む江田島市って素敵でしょ?

「定住促進」や「子育て支援」を考えたときにも、島全体がその方向で進んでいると、ソリューションが見つけやすくもなります。

 

 

図書館の充実で健康寿命増進

江田島市では「読み聞かせ」の活動が活発に行われており、図書館が重要な役割を担っています。

けれど、時制には逆らえず貸出数は減少しており、このまま行けば存続さえ危ぶまれるのではないかとの声も出始めているのが現状。

ぼく個人も、すべての本がデジタル化され、家にいながら貸し出ししてもらえる状況を望んでいるので、図書館の衰退は摂理だと思っていました。

ところが、図書館周辺を観察していて、この島には必須の施設だと考えが変わってきたのです。

 

例えば能美図書館。

鈴木三重吉が能美町で「小鳥」を執筆した縁で、彼がプロデュースした児童雑誌「赤い鳥」が所蔵されています。

彼は明治の文豪ほどの知名度はないものの、日本の児童文化運動の父として文学界に多大なる貢献をした人物。

芥川龍之介の名作「蜘蛛の糸」はこの「赤い鳥」から誕生した作品でもあります。

 

江田島図書館はといえば、かつて浜田省吾さんが通った旧鷲部小学校としても有名で、彼が座ったベンチが設置されていることもあり、ファンが度々訪れる聖地にもなっています。

 

 

このように、江田島市内の図書館は、あらゆる文化芸術を内包して発信する可能性を秘めています。

旧来業務の図書の貸し出しだけをしているには、あまりにも惜しいアイテムです。

そんな図書館が健康寿命増進のウェポンになるなんて!

しかも、医療施策と比較すると、さほど経費をかけなくても充実できる利点もあり、最大効率を得ることができるのです。

 

前置きが長くなりましたね。

では、エビデンスを見てみましょう。

 

 

図書館と健康寿命の相関関係

NHKの人工知能「AIひろし」が述べ人数で41万人分の生活習慣等のアンケートによる回答を分析。

600以上の質問を10年以上に渡って補足し導き出した結果、適度な運動や健康的な食事よりも「読書習慣」が最も健康寿命との因果関係が強いとの結果が出たのです。

しかも、他の要素ではわずかにネガティブな要素と紐付いていたのですが、「読書習慣」には全くそれがありませんでした。

 

番組に登場した医師で千葉大学教授の近藤克則氏も、図書館の近隣に住んでいる住民の要介護リスクが低いとのデータの根拠がわからなかったが、今回のAI による解を見て納得したと見解を述べています。

各分野の専門家も、この解には驚きを隠せなかったようで、番組ではその驚く様子も映し出されていました。

また、本を読まない人は、それだけで不健康要素とばかり紐付いてしまうとの結果も出ています。

 

 

図書館

 

先述の健康寿命の指標で最も良い結果が出ている山梨。

人口10万人あたりの図書館数が6.59館で、全国平均の2.61館を遥かに上回るダントツの日本一。

さらに、学校司書の普及率が98.3%もあり、子供の頃から読書習慣が育まれていることもわかりました。

三つ子の魂百までもといいますが、このあたりは「子育て支援」とリンクして行けそうな要素です。

 

読書習慣により知的好奇心が活性化されることで何かしらのアクションを起こす。

そのことが、健康寿命増進につながっているとわかりました。

高齢者の場合、図書館に通う行為だけでも、十分な運動になりえます。

図書館近辺にウォーキングコースを設置するなどの施策も有効ではないでしょうか。

 

 

危惧

市役所に限らず「お役所仕事は縦割り行政」と言われ続けているのが現状。

現在、図書館の管轄は福祉系であるはずがなく、教育系の部門が担っています。

このセクショナリズムを完全に打破できるのでしょうか?

逆に、打破できなければこの施策は雲散霧消してしまいます。

 

 

公共図書館

今回「公共図書館」を提案しました。

現在は「公立」ですが「公共」というのは自主運営をしつつ公益性も確保するあり方です。

本はあらゆる「こと」を内包しています。

美容・健康・食・文化・芸術・教育・スポーツ・福祉・・・。

本として存在していない「こと」なんて世の中にはないのでは?

 

公共図書館は従来業務だけでなく、なんでもやる、なんでもできるフレキシブルな存在としての可能性を秘めています。

それだけでなく、先述したセクショナリズムの打破の一助ともなりえます。

従来のようにセグメントを厳格にした運営は、分類を明確にして責任をの所在を明らかにする利点はあるものの、柔軟性のなさが否めません。

現在世界で起こっている他分野による既存分野の内包や駆逐の例から見ても、市政が変わらなければならない時期に来ていることは確かでしょう。

 

図書館

 

 

共同体ならぬ協働体

今回のタウンミーティングも協働の好例です。

図書館だけでなくあらゆる施設は市民と市役所の協働により運営されるときなのかもしれません。

まずは図書館で数年ほど社会実験をしてはどうでしょう?

言い方は悪いですが、何かを変えたところで他の分野ほど決定的な悪影響が出ない場所でもあります。

現状の図書の貸出業務は維持していれば既存の利用者にも迷惑はかかりません。

 

  • 協働体とすることで、市民が中心となって運営し、市役所の他のセクションも積極的に関与するシステムを構築
  • 図書館長は公募または指名(地方自治法では公募が必須でなく指名任用ができる)
  • 時間延長による仕事の創出(仕事を持つ社会人にも対応)
  • Wi-Fiの設置による関係人口の増進
  • サロンの開設(話し相手の常駐)
  • 各種イベント・勉強会の開催
  • 福祉関連とのジョイント
  • 移住者の受け皿としての機能

パッと思いついたことを書いてみました。

ブレストを行うとさらに多くの案が出ることでしょう。

 

 

他のセクションにも意見を出したい

実は「しごと」のセクションに「人材の地産地消」を提案したのはぼくです。

市役所で行われている各種ミーティングの様子を見ていると、参加している市民だけが無報酬ということが多々あります。

国の補助金の関係で講師を指定されているのだろうと推測することもできますが、外部のサービスを安易に呼び入れたり外注するのはいかがなものなのかと思うわけです。

それで定量的な成果が出ているのなら納得できますが、そのように見えないことも。

 

人材。

島の中にいますよね?

思い切って権限と資金を与えてみては?

と、いつも思ってしまいます。

同じ不満を口にしている人、結構多いですよ。

 

しごと

 

また、市全体のボリュームアップのための提案をする機会やシステムもありません。

例えば「提案型しごと創造」などの予算を数千万ほど組んで、市のためになる提案だと認められれば、仕事として積極的に市が業務委託をするようなシステムがあればよいかと思います。

個人的にも提案できる施策がいくつかあるので、ぜひこのようなシステムを作って欲しいものです。

 

上記はほんの一例です。

今回のミーティングだけでも、他のセクションへも山のように意見を持っている参加者が多く、その意見を活用しないのは損失だと感じました。

せめてあと3ヶ月始動が早ければ・・・というのが本音。

デザインシンキング的には最低でも半年、できれば9ヶ月ほど、みっちりと観察&インタビューを行い、隠れたニーズやウォンツをあぶり出したかったです。

 

 

まとめ

今回のタウンミーティングで出た意見は、一旦専門部署が持ち帰ってブラッシュアップするとのこと。

次回は一ヶ月後。

熱した鉄が冷めないうちに、早々に開催してほしいなと思います。

 

時間が取れれば「しごと」についても個人的な意見をまとめてみることにします。

 

投稿者プロフィール

saksak・
saksak・エタジマ大学主宰
🍄江ニャ島市特命係長🍄

「せとうちネコネコ団」の執事として、10数匹の猫の執事生活満喫中🐈
サイゴンやバンコクで彷徨い、オアフ島に2ヶ月滞在した後に江田島に流れ着いた漂流民🌴
ブログの収入で古民家を買って島の生活を楽しんでます🌟

Wordpressによるオリジナルブログやサイトの構築が一応できます。
360度カメラ・オールドレンズ遊びも趣味📸
バイクもたくさん持ってます🏍
平日の日中にバイクに乗っている人を見かけたら、ボクである確率が高いらしいです(島民談🤣)

●Google ストリートビュー認定フォトグラファー
●Google ローカルガイド・レベル8(1つの県に1・2人いるレベル)
●朝鮮王朝史研究家
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