能美図書館での哲学カフェ「絵本のこと話そうか」に参加!
広島県江田島市では年に数回、哲学カフェが開かれています。
哲学カフェって元々海外発祥で、日本でも各地でいろいろな場所を会場に開かれていますね。
江田島でも数年前から、公共施設を会場に、市外の哲学関係者を進行役として始められました。
今年1発目は能美図書館を会場に、「絵本のこと話そうか」をテーマに開催。
地域に根差した活動を展開している図書館ならではの趣向も凝らされた今回のカフェの様子、レポしちゃいます☺
哲学カフェって?
はじめに、哲学カフェについて…
哲学カフェに携わっておられるこういった団体のサイトのページには、分かりやすく、イメージしやすい説明が載っていますね。
難しいことを堅苦しく話す、という哲学にありがちなイメージを、よりフランクで親しみやすい雰囲気にシフト・開放させるような場作りを担っているのではないでしょうか。
江田島での哲学カフェの浸透具合は…実際に開かれるようになって年月が少し経過したこともあり、ちょっとずつ知られ広まり続けているところかな、といった感触と言えそうです。
今回のカフェの紹介ページです。
さて、どんな対話が繰り広げられるのか…
開始前に感激‼図書館が彩られている✨
なんと、会場に入る前に驚かされました!
んっ⁉なになにー❓
この柑橘類のキャラクターたちは…❓そういえば、能美図書館のキャラクターってみかんじゃなかったっけ……❓
ロビーのいすに、絵本たち。
ロビー全体が、いつもとなんか違う。
実はロビーのこの一連の展示は、参加者の中から、「せっかく図書館で開くので、何かいつもとは違ったアプローチで哲学カフェへの道を演出してみてはどうだろうか」という声が上がって、有志で実行した、とのこと。
季節のお花も飾り、見た目だけでなく香りも通して、皆の感覚の中に問いかけるものがあれば…この後の対話にも、影響があるかも-といった思いが、込められていたそうです。
ちなみに先ほどの柑橘類のキャラクターたちは、能美図書館キャラクター『みかぼん』と仲間たち。
大型しかけ絵本や小型の絵本になっていたのは、図書館の中で絵本の勉強会を開いている地元の方たちが、みかぼんと仲間たちのオリジナルストーリーを考えて読み聞かせ用に作ったため、とのこと。
それ以外にも手作り大型絵本は何冊か飾ってあって、いずれも図書館利用者の方たちが作ったものだそうです。
大型絵本自体があまり無かった時代のものもあり、たくさんの子どもが集まる場でも、遠くからでも絵が見えやすいようにと、工夫を凝らして皆さんで作ってきた経緯があるそうです。
このような展示品を見ると、能美図書館って地域の人たちに重宝されながら、活動の場を提供してきていたんだな~❣ということを、うかがい知ることができますねー。
『モチモチの木』を通して次々進む、絵本熱のこもった対話!
会場の研修室も、絵画やお花がさり気なく飾られていて、いつもと違った雰囲気に。
参加者1人1人が持参した、お気に入りの絵本を配置した棚。窓枠の水仙と青いガラスの花瓶が加わって、彩りアップ⤴
進行役の中岡成文さん。先ほど哲学カフェの紹介でリンクを貼った、哲学相談おんころの代表理事です。
中岡さんの後ろの椿の花も、参加者の方がご用意されました。
そして、この日の参加者なのですが…なんと全員が哲学カフェ経験者か、読み聞かせなどを通して絵本や図書館に関わる活動に携わっている人だったのです!
なんという、玄人感あふれるカフェ…
なるほどそれで、図書館におなじみの方たちもたくさん参加されていたので、ロビーもあんなに素敵な演出が実現できたのですね✨
すごいメンバーになってしまったようですが、和やかにスタート。
今回は絵本をテーマにしていることもあり、まず1人1人が持参してきたお気に入りの作品について紹介。
1人が何冊も作品を持参したケースもあり、参加者14人に対し、集まった絵本は20冊を超えました。
そこで、対話の議題とする作品を選ぶために、あみだくじ~。
選ばれたのは、おなじみの『モチモチの木』(斎藤隆介作)。
そして、この1冊をみんなで1ページぐらいずつ読み聞かせて回し、物語を把握した上で思い思いの哲学対話が始まります。
「小さいころにしょっちゅう読んでたけど、改めてこんな物語だったのかな❓と思った」とおっしゃっている方がいらっしゃったけど、私もすっかりストーリー忘れてました😅
読み終えたところで出された意見というと…
「起承転結の中で言うと、〝転〟のところでぐっと主人公の気持ちに入り込ませられる」「目に見える成長というより、子供の内面で大きな変化があることが浮き彫りになっている」と、物語の内容や構成に触れたり…
「自分の子供のころも、こんな体験あったな、と思う」「今は環境も違うし、共感できる部分が減っているのではないだろうか」と、自身の経験や現代の状況に即した考えがあったり…
絵についても、さまざまな視点で意見が出ました。
「影のように暗い部分と、鮮やかな色が加えられている部分があって、図柄がきれい」「ページごとに、木の表情が違う。おどろおどろしく描かれている場面もあれば、ロマンチックに色がついていたり。1冊の中で安心感もヒヤヒヤ感も、もたらされる」etc.
さらに、対話は奥深く広がっていく…
佳境にさしかかかると、絵本の重要性につながる発言も。
例えば、「木は子供が想像力を働かせて見ると、全然違う印象に見えるんじゃないか」という、ストーリーに基づいた感想が出た後で、「自分にも豊かな想像力があったけど、捨てたというより忘れたふりをしているのではないか、と思いながら読んでいると、絵本を通じて育ち直しをしている実感がある」という声が上がったり。
「絵本は字が大きく、絵に迫力がある。目が見えにくくなっている高齢者も、絵本を渡すとじっくりと眺めたり、声に出して読んだりする」という実例も。
こういう対話の展開になったのは、今回のメンバーならではだったのかもしれませんね。
さらに、「今日のみんなの声のトーンが心地よく感じた」という気づきも出され、「声に出して物語を読んだり、話を聞いたりと、実体験を含みながら進めたことで、対話がふくらんだ」と、手ごたえを語る人も。
「五感を働かせて参加することができた」という意見もあったけど、その点は会場やロビーのコーディネートで視覚や嗅覚が大いに刺激されたことも大きかったのでは?と、個人的に思いました。
難しい言葉を使う必要もなく、そもそも発言するかしないかも参加者本人の意志にゆだねられ、結論も出さなくて🆗という哲学カフェならではの自由な雰囲気の中、各々が新しい気づきを発掘する場として、大いに盛り上がったようです。
今回は絵本がテーマで特定の作品を読んだり聞いたりした上で対話するという、かなり特徴的な流れでしたが、このほかにも哲学カフェではさまざまなテーマで、フランクな対話を楽しむことができますよ。
江田島での開催、次回以降も楽しみです!
投稿者プロフィール
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エタジマニア謎の編集長。
江ニャ島市特別世話係。
別名でライターやハンドメイド作家などの活動も展開中。
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